可視

このツールの実物を始めてみたのが、2007年の6月。
S1さんと南信州の渓に出かけたときだ。
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私より随分若いS1さんが、こんなローガン鏡を帽子につけていること自体不思議な気がしたし、包み隠さず心の内を言葉に出してしまうと「ご愁傷さま」みたいな気がしたものだった。
とはいえ、オマエ自身はどうなのだと問われれば、キッパリと必要ないと言い切れないどころか、フライタイイングにはルーペが必須のアイテムとなっていたし、薄暗がりでのフライ交換には、偏光グラスが邪魔者となっている状態だったことは否めない。
しかし、タイイングに使うルーペは、あくまで巻き上がったフライのチェックのためであり、言ってみれば、宝石鑑定士がダイヤモンドの真贋やグレードを確認するのと同義であるなどと、哀しく自分に言い聞かせていただけだったのかもしれない。

その後、冬のオフシーズンを向かえ、タイイングデスクに向かったとき、どれだけ光量を増したランプを用意してもフライに焦点が合わぬ眼の自分に素直に従わざるを得なかった。
つまり、タイイング用のローガン鏡を用意したのだ。
はじめてローガン鏡を使ってタイイングしたときのことはよく覚えている。
感覚的には、初めて偏光グラスを使って水中の渓魚を見たときに似ているといえば言えなくもない。
「えっ、こんなに見えるの?」という感じなのだ。
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そして先日、私と同年齢のgaryさんと釣行した折、彼は同様のツールを帽子の庇に取り付けていた。
もうそのときには、ご愁傷さまどころか、同病相憐れむ的な連帯意識すら覚えた。

オフシーズンよりさらにローガンが進んだと思われる私のそのときのフライ交換の姿はさぞ滑稽だったろう。
どんな明るい場所でも、偏光グラス越しのフライ交換は困難。
とりあえず、偏光グラスを帽子の庇の上に退避させ、フライを明るい空に向かって突き出し、何度もそのフライのアイの周辺をティペットでつつきまくるのだから。
バックグラウンドに明るさを求め、両手を空に突き出し、あっちをむいたりこっちを向いたりする姿は、阿波踊りのようだったに違いない。

「ご愁傷さま」は完全に私に向けられた言葉と化し、帽子の庇の上に偏光グラス、下にローガン鏡といったダブルレンズスタイルが必要だと思い知らされた。

そして、前回の釣行。
私はふたたびこのフレーズを口にすることとなった。
「えっ、こんなに見えるの?」
by s_1046 | 2008-09-02 20:08 | アイテム&ツール
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