自失

前夜「明日は釣りに行ってくる」と家人に告げたものの何の準備もせずに床についた。そして早起きが苦手と来てるから、起床後バタバタと荷物を車に放り込み午前6時に家を出る。
今日はガツガツせずにのんびり行こうと自身へのエクスキューズとするのはいつものことだ。

それでも愛車の軽四駆に鞭打ち高速道路をひた走り一般道へ。
そこで燃料計を見ると、目的地にたどり着けるかどうかというレベルの残量だ。急いでガソリンスタンドに飛び込んで普段の給油価格から見るとバカ高いガソリンを入れる。準備不足はこんなところにも現れている。なんだかバタバタが連鎖している感じなので、道中にある記念公園に立ち寄り連鎖をリセットすることに。

f0022103_2072866.jpg
桃介橋と鯉のぼり



いつもの渓に到着しノンビリと準備をすると、どうやら気持ちも釣りをするための心地よい高ぶりを内在しつつ落ち着いた気分。どうやらリセットが功を奏したようだ。
しかしこの後、さらなるドタバタ劇に見舞われることになるのだが。

入渓点を求め少しばかりウロウロしたが、何とか入渓。ハッチもライズもないのは織り込み済みなので、ここぞというポイントにフライを流しながら遡上していく。
それほどの時を経ずしてファーストアタックがある。フッキングもうまくいき魚を寄せてくる。
パーマークが見える。タナビラと呼ばれる木曽のアマゴだ。小さな魚体だけど慎重を期しネットで掬おうと手を背中に回す。
最初はネットが変なところにあるのかと背中に回した手をあちこちに這わせるが・・・
ない! ランディングネットがない!
などというドタバタを演じているうちに、ロッドから延びるラインのテンションが緩んだ。
一瞬にして魚もランディングネットも失い、呆然と立ちすくむ。自失状態だ。

まずはラインをリールに収納し川岸の巨岩に立てかけておき、釣り上がってきたルートを逆にネットを探す。特に岸からせり出したネコヤナギやノイバラなんかのネットを引っかけそうな場所は入念に探索。
1時間ほどかけて探すが、しかし、見つからない。
ひょっとして車に忘れている可能性もないわけでもないと自分に言い聞かせ、ロッドを置いてある場所まで戻り釣りを再開するが、ネットを紛失した場所はどこだろうかと、あれこれ考えているものだから釣りどころじゃない。
殺風景な背中を晒しつつ釣りを続け、なんとか脱渓点まで到着した。気がはやるが、覚束ないヘロヘロ気味の足元がもどかしい。なんとか車に戻って周囲を探すもののネットはない。

ランディングネットを背中につるす方法は人それぞれだけれど、ワタシの場合はグリップにマグネットリリーサーを取りつけぶら下げてあるだけ。ネットのフレームにリリーサーを取りつけると、取り込んだ魚を撮影するときにフレームに取りつけたリリーサーまで写りこんで美しくないのでいやなのだ。
だが、ネットをなくすと同時に紛失防止のコードを取りつけていなかったことを激しく後悔。

執拗な性格なので(笑)車に乗り込み再び入渓点に戻り、自身の行動ルートをトレースすると、先ほどたどった場所(だと思う)で野茨(ノイバラ)にひっかかって救いを求めるランディングネット発見!
帰宅後紛失防止のコードを取りつけることを近い上流に移動することにした。

上流部には名産の檜を運搬するため建設された森林鉄道の名残がそこかしこに見られる。
f0022103_8201740.jpg
残骸となってしまった森林鉄道の橋脚



その場所を流れる水はあくまでクリアでとても美しい。当然のようにそこに住む魚達も美しく、この流れが大好きな理由だ。しかし虫の姿も見られず、もちろんライズもない。その美しい魚体を見ることは叶わないかと思った矢先、岩に隠れ上流部をのぞき込むと10ヤードほど先のフラットな浅瀬にノンビリと定位するパーマーク発見。これは一発で決めないと逃げられるパターンなのでとても緊張しつつラインを繰り出してキャスト。珍しく思った場所にフライを置くことが出来た。だけどパーマークは気づいているのかいないのか・・・行動を起こす気配がない。横を通り過ぎてしまうかと思ったその時反転するようにゆっくりと魚体をくねらせ捕食。
今度は背中にネットがあるのを確認してあるので、余裕でランディング。

f0022103_21131573.jpg
小ぶりではあるが色白の木曽美人



帰宅の時間を逆算するとそろそろ脱渓しなければと言う時間になった。脱渓点までは50ヤードくらいだろうか。ポイントは3カ所くらい。魚体は確認できないがとりあえずフライを浮かべようとキャスト。頭の中にはタナビラの存在したなかったので、流芯にむけてキャストしたつもりが反転流にはいり岩にへばりついた。少しフライを動かそうとラインを引くと岩の下からのっそりと魚体が出てきた。

f0022103_2123568.jpg
岩の下から現れたのはいいサイズのイワナ



ネットの中のイワナとの対面はドタバタで始まり自失状態の釣行を最終的に大ラッキーに転じてくれた。
by s_1046 | 2015-04-30 21:27 | 釣行レポート
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28