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天命

子曰、「吾十有五而志於学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩。」
論語の一節にこのような言葉がある。
子曰く(し、いわく)というヤツである。孔子という昔の中国にいた偉いオッサンの言葉だ。その孔子のオッサンによれば、15才で学に志し、30才で独立し、40才では惑わない。そして50才で自分の天命を知り、60才で何事にも従うことが出来るようになって、70才では自分の考えは人道を踏み外すことなどあり得ない。という、とてつもなく尊大な考えを臆面もなく人に晒すというオレから見ればとてもハズカシイオッサンだ。
しかし、人生の教科書として超有名な論語であるから、皆はそれを目指して自分の人生を歩もうとするわけだ。それによればオレの年齢の50才代というのは天命を知らなければならない。ところがこの文章を書いているオッサンは、惑ってばかりだし、立ってもいないし、学に志した記憶もない。つまり15才以下ってことか。

そのオッサンが同年齢のもう一人のオッサンと釣行に出かけた。このオッサンは会社員だったが、50にして立った、つまり独立した立派なオッサンで、孔子よりは20年ほど後れをとったけど、オレから見れば孔子モドキみたいな人なのだ。

水曜日に、そのモドキのオッサンとモーニングコーヒーを飲みつつ雑談をしているうちに土曜日に釣りに行こうということになった。その理由が「木曽で売っている蕎麦つゆを妻のために買い求めたい」という本当に素晴らしい理由。それに乗らない手はないので二つ返事で受諾し、釣行決定。

かくして始まったオッサンふたりの釣行のテーマは「楽」。楽しむという意味合いもあるが、ラクをして釣りをしよう・・・というのが本音だ。だから信号のある一般道は選ばない。中央高速道路に乗ったら中津川で降りる事なく、伊那まで一直線。権兵衛トンネルを抜ければ木曽福島じゃないか。コンビニで昼飯など買わない。ヒルメシは蕎麦屋に入ろう、その方がラクだから。おおまかなスケジュール決定後、有名な企業が山荘を構える別荘地に沿って流れる川に到着。
入渓直後5メートルも釣り上がらないうちに、モドキのほうのオッサンが岩魚を釣り上げる。たいしたものだ。即座にイワナをリリースしてるので「写真撮らないの?」と聞くと「ん?! まだいい」と、さすが50にして立つだけの大人物のオコトバが返ってきた。
その川は釣り上がるにはちっともラクではない渓相をもち、岩がゴロゴロしてる。案の定、入渓直後に足下がふらついたオッサン(オレのコトね)は安全そうな岩に大ジャンプ(といっても50cmくらいのことね)して事なきを得たが、気がつくと帽子の庇に乗っけておいた偏光グラスがない。「ない、ない」と大騒ぎしていると、モドキのオッサンも、さすが50にして立つだけの大人物、一緒に川底に沈んだであろうメガネを探してくれた。なんとか見つけ出し釣りを続けることができて謝々。
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偏光グラスをレスキューし苦笑い



釣り始めた直後に岩魚が釣れたその後の魚の反応は鈍い。というより真夏の日差しに照らされた川底から魚など出てくるワケがないのだ。出来るだけ日陰を選んで釣りを続けるが、それでも動いていると暑くてかなわない。設定した「楽」というテーマから大きく外れそうになった我々は、そのエリアに見切りを付け、当初の予定の蕎麦屋に向かった。こういう楽をする行動には惑うことなく体が反応する。40にして惑わずだ。
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日陰を選んで釣るモドキのオッサン



我々が釣りに出かけた水系は、広大でそれぞれ違った水源を持つ。ここのところの少雨で全体的に渇水が予想されたので、最初に向かった川は渇水になりにくい川。その予想通り渇水ってどこの話?ってくらいの水量で、釣りには不自由しなかった。ところがこの蕎麦屋のある本流から見て右岸に注ぐ支流はどこも大渇水大会をしているようで、魚が溺れちまうんでないか?と言う状態なのだ。仕方ないので水と日陰を求めて上流方面に移動すると、釣り人の姿。ちょうど釣り終わった様子なので「どうでした?」と聞くと「そこそこ釣れましたぁ」という予想を覆すオコトバが返ってくるではないか。しかし、天命は未だ知らぬが人の言葉を素直に聞くという正直さを失っているオッサンは「こいつ見栄を張っているな・・・」と、いかに人間が出来ていないかということが証明される疑りの心境。
それでもその場で釣り始めると確かに魚の反応はある。足下まで魚を寄せてきてはバラシたりフッキングに失敗して「ココの魚は喰うのがヘタクソだ」とつぶやいたりしながらもなんとか岩魚をネットイン。
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水中から飛び出してきた天使のような岩魚ちゃん



それからも釣り続けるが、なにせ暑い。こりゃ「そこそこ釣れましたぁ」ではなくて「そこそこ疲れましたぁ」なのだ。実をいえば疲れたのは「そこそこ」ではなく「かなり」なのだけど、人間が出来ていないので見栄を張ってしまったワイ。

その後、本来ならこの川の核心部と言える部分を釣るが、実力発揮して一匹も釣れず。川の土手に立ち水面に向かい「今日はこれぐらいにしといたる・・・」というお決まりの捨てゼリフをつぶやき釣りは終了。
モドキのオッサンが「今日は帰ってもカミさんが居ない・・・」と、一瞬「逃げられた」などという言葉が脳裏をかすめる事を言うので、おぉ!と色めき立ったが、どうやらただのお出かけらしく、じゃあ晩飯でも付き合いましょということで意見は一致。
モチロン忘れることなく「妻への蕎麦つゆ」を購入して高速道路にらいどん。
どこへ食べに行こう・・・といっても土地勘がないモドキのオッサンに聞いても無理なので、天命を知らないオレが「あそこ、行こ」と勝手に決めた。決めた先は瑞浪にある「みわ屋」。天命は知らないが店名は知っておるのだ、わはは。

この記事に出てくる食い物関係は別のブログに書きました。
Commented by sawakobo at 2012-08-06 23:46
standyさんからいただいたの釣行のお誘い、都合が付けられなくて申し訳ありません。
不惑を大きく超えた小生も、釣りを楽しむだけでなく、おふたりのように釣りに行くことを楽しめるようにならないといけませんな~

とりあえず、
6月末以降、サカナと戯れる日から遠ざかっていますので、
エッセイのような貴殿のBlogには遠く及びませんが、
拙Blogにも今月は何か足跡を残せるようにはしたいと思っています。
Commented by standy at 2012-08-07 10:05 x
Sawakoboさん、どもです。garyさんの奥様のご用命により霧しなのそばつゆ買いにいってきました(笑) なんと4本も買ってましたよ(爆) トウモロコシの旨さが相変わらずですが、生のトウモロコシは衝撃的でした。今度行った時には、みわ屋で牛まぶし食べましょう。
Commented by gary at 2012-08-07 16:56 x
48にて立って50以降は立たなくなった(しまった、高尚なBlogにシモネタつかってしまった!)モドキのオッサンです(笑)

今回はナビゲーターに恵まれ、大名釣行となり有意義な一日となりました。(喜) 
これでもう少し魚が遊んでくれればと思う私は、やっぱり小物ですね。
Commented by standy at 2012-08-07 17:25 x
garyさんどもお疲れさんでした。なんでしたらED治療のほう相談に乗ります(笑) お魚さんの方は私の力ではどうにもならないので「そこそこ釣れました」と言ってたお兄さんと一緒に釣ってください(笑)
Commented by naru-kato at 2012-08-10 06:55
こんにちは、以前から開田から帰る時、伊那~権兵衛トンネルのルートを使うとどれだけ早いか、高速代余計に払っても価値はあるのか?考えてました(すげーつまらんことですが)。毎回、帰り道の木曽路って疲れるんですよね、トラック多いんで。
Commented by standy at 2012-08-11 20:12 x
naruさん、時間は余り変わらないですね。もちろんお金は余分にかかります(笑)。 たしかに早朝から暗くなるまで釣りをしていると帰路はキツイですね。でも最近は早朝からなら午後早めまで、イブニングをするなら午後から出発という時短モードが多いので帰り道は19号ということが多いですね。
それより魚が釣れれば帰路も気になりませんが、釣れなかったときの疲労度は半端ないので何とか釣れるように頑張ってます(笑)。
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by s_1046 | 2012-08-06 20:22 | 釣行レポート | Comments(6)