爆小

数日前の雨の日、友人達が連れ立って釣りに出かけた。最初それを聞いたときには「ウソでしょ〜」と取りあわなかったほどの傘マークひとつだけの天気予報。しかし「爆釣だった・・・」という釣果報告を聞いた直後には、不確定だった釣行目的地がほぼ決定。前日には同行者の沢好坊さんと出発時間などについて打ち合わせ。午前5時のピックアップをお願いして釣行準備にとりかかるが、爆釣の文字が頭の周りを飛び交っていることが自覚でき、ついついニヤケてしまう。釣り人は「爆釣」とか「イレグイ」とか「大物」なんて言葉にからきし弱いのだ。
余談ではあるけれども、自分の車のナンバープレートを「1091」・・・イレグイにしている人も居るほどだよね、Sサン(笑)。

そんな訳で、爆釣への旅は3時間チョイの小旅行。
土曜日ということもあり、そこそこの人出を懸念したが、道中の高速道路の混みようは意外なほど。休日の高速道路料金割引が適用されなくなるのを間近に控えた人たちが、早朝から出発した結果のようだ。

目的の川は、かなりの山奥と言っていい場所にあり、釣り人のキャパシティーはそれほど多くはない。土曜であるので、ある程度の釣人による釣場の重複は避けられないと覚悟していたが、国道から川へのアクセス道路に踏み込んでみると、こちらも意外なほど車の数が多い。他に逃げる川もないロケーションなので、ひとまず現地に向かうことにしてドンドンと標高を稼ぐと、どうやらこの道を利用するのは釣り人だけではないことに気づいた。かなり奥深くの林道に入っても軽四やらセダンやらの釣人ではないと推測される車が多いのだ。どうやら良い釣りのフィールドであるこの場所は、山菜採りのメッカでもあるらしい。話を聞けば、ハイシーズンは過ぎたもののまだまだ山菜は豊富であるという。

過去この川で釣り上げたイワナのアベレージサイズは25cm程度だろうか。個人的な好みでいえば、魚のプロポーションや模様がいちばん綺麗で均整の取れたサイズだと思う。そのサイズが爆釣であるなら、フォトジェニックなロッドを使おうと考え、バンブーロッドをケースから取り出して準備を始める。リールをセットしラインをガイドに通す段になって違和感。なんと最終のスネークガイドが綺麗さっぱり無くなっているではないか。半泣きでロッド交換し入渓。雨で軽い増水が見られるが、まだ「爆釣」の文字は頭の上にいる。イメージでは一投目から激しいアタック・・・のはずが、水面は割れない。いぜん尺イワナを釣り上げたポイントも何事もなくフライは流れる。「あのときは2匹のイワナが同時にフライに飛びかかってきたのに」とそのポイントに固執していると、少し上流で沢好坊サンがかがんでる。「お先に・・・」満面の笑顔で告げられればなにが起きたのかは明確だ。
まあ「爆釣」の川なので焦ることもないさと釣りを続けるが、なかなか魚の顔を見ることが出来ない。するとイカにもというポイントに差し掛かる。俗に言う「ここを流しても反応がなければ魚がいないノダ」と言い訳をする場所だ。水面を眺めつつティペットの結束の確認、フライのドレッシングをしていると、澄み切った水面でライズだ。「イタダキ!」てな気分である。一投目からフィーディングレーンに乗ったブラックパラシュートが消える、快感。少し小振りではあるが水中を右に左に激しく動く銀色の矢がさらに快感をあおる。手元まで残り5ヤードネットに手を伸ばそうかと思った瞬間、矢は小刻みな振動の陰影を残し岩の割れ目に消えた。これがこの日のバラシ連発の序章であることには気づいていない、この時には。
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この場所では、底石の間から飛び出たイワナ、対岸の岩のエグレから浮き上がってきたイワナ、ことごとくフッキングするものの、ネットに収めることが出来ない。ところが魚の反応があるものだから最終的に7Xティペットに#20のフライまでサイズダウンして2匹のイワナを手中にしたが、その倍以上のバラシで未熟さを痛感した上に、今までのアベレージサイズにはほど遠いサイズが達成感を損なう。

頭の上を飛び交っていた「爆釣」の文字は、知らぬ間に水面に落ち下流の方向へ流されてしまったところで午前の部終了。
午後からは、取水堰堤から上流部を攻めることにする。取水堰堤より上流部は上下流間の標高差が少なく、いわゆる緩やかな流れで、エサ釣りの釣法でのポイントがほとんどないことから、魚が抜かれる数が少ないと考えられるため、期待大だ。一昔前は延々と続く足首の水深の流れを尺イワナが背鰭を出して泳いでいた・・・と言われる川。今回は雨後であるので足首の水深は膝下まで持ち上がっていたが、凹凸のない流れは軽い増水によってポイントを消し去ったように見える。そこで、倒木や大きめの底石に注視し、その下流を流す作戦をとってみた。流すといっても本当に流れに乗せてしまうとフライはF1カーのように目の前を行き過ぎるので、流れが複合し緩やかになった場所にフライを置くようにした。文字にすれば簡単そうでも実際に満足できるキャストは1/10程度。オマケに張り出した枝葉の下を狙うことによるライントラブルでストレスは貯まるのだが、狙ったポイントにフライを留めることが出来たなら、魚が顔を出す確率はかなり高い。しかし、その後のバラシとも闘わなければならないのが未熟さ故なのだが、フッキングした魚を下流に走らせてやればバラシが激減することに気づいた。
「もっと早く気づけよ」と自分を叱咤する頃には、膝下といえど流れの中で踏ん張ってきた下半身がだるくなってきた。わずかに残った岸の部分を歩くことがこれほど楽と言うことを再確認。
脱渓点と見定めた場所が確認できる頃には5匹ほど釣り上げる事が出来ていたが、いずれも20cm前後のサイズで、いまひとつ物足りなさを感じていた。そんな時に左岸ギリギリに突き出た岩とそのすぐ下流に沈み岩という好ポイントを発見。突き出た岩で流れが分断され緩やかになったところで沈み岩にぶつかり上向きの波を生じている。さらに沈み岩の下流側はエグレている。目標の流れとは違う方向の流れに乗ったり、沈み岩の上をうまくスルーできなかったりで何投目かにやっと狙い通りにフライを流せた。
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ランディングネットの長径にわずかに及ばないサイズではあるが、今回いちばんのサイズをゲット。
写真撮影を済ませ、リリースするがイワナは逃げない。そこでもう一枚。
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見事な保護色。
「爆釣」の川で小さな魚ばかり「爆小」と言うとゼイタクだろうか。
by s_1046 | 2011-06-05 17:01 | 釣行レポート
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