炎熱

前回の釣行から随分と時間がたってしまった。負傷が癒えたと思うと、その負傷により歩き方が悪かったのか、次々と別の場所が痛み出すという悪循環。そうこうしている間にシーズン盛期も過ぎて禁漁が目の前に迫ってしまっている。身体の方からはGOサインが出ないにもかかわらず、通勤に使う堤防道路を通るたびに思わず川の流れを見下ろす毎日。堤防にある空き地に車を止め澱んだ流れを見つめることも二度や三度ではない。「愛知県の明日の最高気温は38℃」という天気予報を聞いた瞬間、明日は川に行こう、と思い立ったのは必然なのだろう。

しかし、源流域のハードな釣行はかなりの無理があると判断。ココロのリフレッシュに重点を置いたリラックスした釣行にしようと思った。そこで思い立ったのが"Steering&Rod"大作戦。大作戦といってもそれほどオオゴトな事ではない。ステアリングを握りドライブを楽しみ、渓に立ち竿を振るのを目的にしようというだけのことだ。前日の夜、ほとんどの荷物をMercedesSLKのトランクに放り込み準備は完了だ。

高速道路に乗り入れ iPhone4 の iPod アプリを起動し、脱力系ボサノヴァと勝手に名付けた Sotte Bosse を選曲し聞き慣れた J-Pop を口ずさみながらオートクルーズでゆったり走る。
高速道路から一般道、そしてワインディングロードに。いつものジムニーでは青息吐息の急坂も軽いアクセルワークで苦もなく登っていく。登りのタイトなコーナーもアクセルを開き突入し、ゆるやかなアンダーステアを楽しみつつ、クリッピングポイントを超えた直後からさらにアクセルを開くと、クンッという感じで車体後部が沈み込む。低音の排気音と共に一気に直線部分を上り詰めると次のカーブだ。そんなことを繰り返し峠を越えると釣りのフィールドだ。

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下界とは異種の空気を感じる山間のフィールドは、気温にして10℃程低いが、残暑が激しい昨今は直射日光にさらされる部分に立てばそれだけで汗が頬をつたう。しかし周りを見渡せば確実に季節は移ろっているようで、雲ひとつない青空を背景にススキの穂が銀色に輝き風にそよいでいる。そして清冽な流れの中に足を踏み入れる。そこに自分が置かれているだけでも精神が解放される気分になれるのがフライフィッシングの素晴らしさの一部分だ。堤防道路に車を止め澱んだ流れを見下ろしていたときに求めていたのはこれだったと強く感じる。

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ところが肝心の魚の姿をなかなか見ることが出来ない。格好を付けて「リフレッシュ出来ればそれでよい」などという美辞麗句はロッドを振り出した瞬間から消え失せている。魚の姿を見ることが出来ずにいることにかなり苛立つ自分を感じて笑えて仕方がない。笑いが苛立ちを抑え、それがロッドから先端に結びつけられたフライに伝わったのか、ボチボチと魚がアタックしてくるようになってきた。

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このまま夕闇が訪れる頃合いまで続けていれば、もっとサイズアップは望めただろう。しかし、数尾の渓魚とのやりとりを楽しんだ今、ロッドオフとしよう。
そして炎熱の街に戻るのだ。
by s_1046 | 2010-09-06 23:23 | 釣行レポート
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