フライタイイング

美翅

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シーズン終了と同時に、手持ちのフライの整理を始めた。
自分としては、廃棄するフライに関して、結構な高水準に閾値を持ってきてしまったので、殆どが廃棄処分という憂き目に陥った。
そこで、シコシコと使用する機会の多いパラシュートパターンなどを巻き始めていたのだが、フック100本を目の前にして巻いていっても、少しも減っていかないので、いい加減飽きてくる。
目の前のフックが、やっと半分くらいに減った頃、"SELECTIVE TROUT"という本の中の一部分に目がいってしまった。そのあたりのことは、前回のエントリーに記してあるので重複を避けるが、とにかく"No-Hackle Dun"というフライパターンを巻きたくなってしまったのだ。
タイイングデスクにマテリアルの有無を確認して、椅子に座る。
ハックルを使わないパターンというのは、今までも巻いたことがあるが、そのほとんどはウイングにシンセティックペーパーを使うパターンで、ダッククイルを使って巻くのは、ずっと以前「お遊び」で"No-Hackle Dun"に挑戦して以来。
このフライ、タイイングも面倒くさいというか、高難度であるのだが、コカゲロウなどという昆虫をターゲットとして模すため、フライフックのサイズは#20を使用したい。
それまで#14のパラシュートパターンを巻いていたローガンの中年オトコには、#20のフックが何とも小さく見える・・・、というか「こりゃ無理だ」と弱音を吐かせるには充分な小ささなのだ。
心身とも「腰砕け」の状態にある中年ではあるが、「初志貫徹」などという四文字熟語が美辞麗句として教育された年代であり、ここは何としても1本だけは完成させないと、オノレの存在価値ソノモノが消え失せるのだゾ、と超精神論的理論で気分を高揚させ、バイスにフックをセットした。しかし、情けないことに、「腰砕け」の中年がバイスにセットしたフックは#18であった。
(写真は、その後根性を入れ直して巻いた#20であるが、向こう側の翅はちょっとしたショックで亀裂が入りそうなくらいアヤウイ)

f0022103_20393142.jpgあまり思い出したくもないのだが、簡単にタイイングを振り返って見ることにする。
まず、バイスにフックをセットする。これは誰でもできるので、私も自信満々でセットした。
スレッドで下巻きをするのだが、ベンドの手前にこぶを作って、テールをほぼ90度の角度に開き取り付ける。恥ずかしい事ながら、この行程を終了したところでルーペで見てみるとバランスが悪いものがある。名古屋弁で言えば「傾くにきまっとるがや」というヤツである。概ね10本をバイスにセットしてタイイングを開始しても1本はやり直しである。でもまだここでならやり直しが効くので由としなければならない。
そしてスレッドをウイング取り付け位置まで持ってきての一大イベントが始まる。
事前にデバイダーを使って切り出してあるクイルをシャンクにセットして、左手の親指と人差し指で挟み込む。この時、爪の中が白くなって「爪中貧血状態」にならないと、失敗する確率がハネアガルので、思いっきり挟んで、スレッドでを一気に絞り込んで固定する。そしてオソルオソル爪の中に血を通わせると「美しい翅が・・・」。出来る確率、低いのよねぇ〜。
それでもせっかくの作業であるのだから、グリグリと固定して、ハーフヒッチで結ぶ。
位置が悪かったり、左右の長さが違ったりして、結構な確率でそれ以上先に進むことが出来なくなる。うまく固定できたとしても、飛び出たクイルをシザースで処理する時にも切り込みすぎたりする。
次にテールの方向からボディーにダビングしたスレッドを巻くのだが、スレッドがウイングに近づくにつれて緊張感が高まる。
スレッドが少しでもウイングに触れると、瞬間的に単葉が複葉にかわって、天を仰ぐことになってしまうからだ。
ここまで難関をくぐりぬけた半完成フライが、一瞬にしてゴミ箱行きになる瞬間がおとずれるっていやなもんですワ。
そうしてなんとか出来上がるのは、バイスにフックをセットした回数の半分。でもこれはなんとか出来上がる数で、まあまあ満足できるフライは、5本に1本ってとこかな。
ちゅうことは、10本のフライを制作開始して、半分はボツ、満足できるのは1本。
"No-Hackle Dun"の名手と言われるレネ・ハロップは失敗しないであろうから、ごく少量のマテリアルで1本のフライを作っちゃうだろうから、少なくとも私の"No-Hackle Dun"は原材料費では、レネ・ハロップには負けない自信がある。
しかしなぁ〜、完成した"No-Hackle Dun"を見るとどうしても#22がコカゲロウサイズのような気がしてならないのだけれども、どうしたもんかなぁ〜。
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Commented by Tamakura at 2006-10-30 10:31 x
Standyさん こんにちは^^
いやぁ素晴らしい巻き上がり、感服したしました。
私もノーハックルダンの美しさに憧れしばらく巻き続けたことがありますが、これほどの精度では巻けませんでしたよ。(笑)

ところでこれは、私が一番上手く巻けたと思ったノーハックルダンを実際に使用してみてのことなんですが、「美しい花には棘がある」というやうにこの美しいFLYには弱点があったのであります。
このノーハックル、少し強くキャスティングするとウィングの角度がびみょ~に作用して、プロペラよろしく回転してしまうんです。

このことを踏まえ、ノーハックルダンを使用するなら、流れの緩い静かな水面にゆ~っくりキャストするソフトソフトプレゼンテーション、これ以外ないと思われます。

でも、こんな毛鉤で溪漁が釣れたらチョ~嬉しいだろうなぁ。^^
Commented by standy at 2006-10-30 12:03 x
Tamakuraさん、こんにちは。
以前ね、紙のウイングで作った時、確かにティペットがねじれました。
アイの方からシャンクに沿ってインジケーターを斜めに取り付けたパターンは、まだましだったような・・・。
どちらにせよ、フォルスキャスト少なくして投げないといけないってことですね。

じゃあ、私なら足元の魚しか釣れないって訳か・・・(涙)。
Commented by amago_fish at 2006-11-03 22:14 x
おお~っ! もう1万本 巻いたのですか?(笑)
私の場合 ノーハックルダンは まともに巻けた試しがありません....(汗)
standyさん 凄いです。
Commented by s_1046 at 2006-11-05 11:05
amago_fishさん、コメントありがとうございます。
ノーハックルダンに関しては、文中にもあるとおり失敗の連続でして、言ってみれば「まともに巻けた」と言える状態ではありません。
忍耐力の低下が著明な今日この頃、再びノーハックルダンのためにバイスに向かうことはないでしょう。
それと、1万本というのは生涯かかっても巻けない数字であります、ワタシの場合。
by s_1046 | 2006-10-29 19:33 | フライタイイング | Comments(4)

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